最近、多読と言う意味では読書の量が減っている。理由は、長時間電車に乗る機会が減ったから……
逆に、机に向って精読する本が増えてきた。
ただ、今まで記録を取ったことがないので、「どっかで読んだな…」と言う時に探すのは大変…
このページは、ちょっと気楽な読書ノートにしていきます
最終更新  2000.6.20

『観光コースでない  ベトナム ―歴史・戦争・民族を知る旅―』  
                                    伊藤千尋著   高文研   1995年   \1500円
   もう16年も昔の話になるが、高校の修学旅行は「沖縄」であった。当時、歴史に興味を持ち必修クラブで郷土史部に所属し、大学の史学科を目指していた私は、沖縄史、特に太平洋戦争における「沖縄戦」について調べ、修学旅行委員を引き受け「修学旅行のしおり」を作成した。しおりというよりも、資料集のような分厚いものが出来上がった。担任であった社会科の先生の影響もあったが、今になって思えば、「右だ左だ」とうるさいご時世の教育現場では、覚めた目で見ていた「恩師」も多かったように思う。いや、事実そうであった。
   その時のバイブルとなったのが『観光コースでない沖縄』であった。今でも幾度かの改訂を加え、書店で手にすることができる。思想的な問題は置いておいて、1975年の海洋博覧会以後の観光地としての沖縄向け案内書の対極に位置する、沖縄史本来の姿を伝える本であると言う印象が強い。
    さて、本題である。この『観光コースでない ベトナム』を手にした時、やはり真っ先に『〜沖縄』の姉妹書という認識が強かった。したがって、昨年夏に渡越する際にも「バイブル」として読み込んだ。幾分、ベトナム戦争とその影響という観点からの知識が強く残ったように思う。事実、ハノイ市内見学の際に私が所望したのは、ベトナム戦争中「北爆」で全壊し医師や看護婦、患者ら28人が即死した「バクマイ病院」であり、「軍事博物館」であった。
   なぜバクマイ病院か。それは本書の次のような一節の印象が強かったからだ。

   「爆撃から20年以上たった今、病院を訪ねるときれいに復旧していた。副院長【注・現院長】のチャン・ウオック・ロー氏は当時この病院の外科医で、ちょうど地下室で手術中に爆撃を受けたという。入院患者のほとんどは田舎に疎開させていたが、前線から送られてきた重症患者に緊急手術をしていたのだ。建物が全壊するほどひどい爆撃の中、地下室とて大地震のような状況だったが、彼は逃げなかった。「医者が手術中の患者を置いて逃げるわけにはいきません」と笑っていう。
    今、この病院の医者は200人、看護婦は500人を数える。全国の病院の中心だ。重症患者が各地から運ばれるが、その中にはベトナム戦争当時に米軍が埋めた地雷によって足を吹き飛ばされた子供もいる。戦争の被害は今も続いているのだ」

   1年たって読み返してみると、少し冷静になって読み返している自分に気づいた。「そういう考え方もある」「そういう見方もある」でもさ…と考える自分がいる。もう一度、今度は時間もあることだし、このバイブルを持ってハノイの町を歩いてきたいと思う。読後感は、その後で記したいと思う。(2000.6.2再読)   

   

『泥まみれの死  ―沢田教一  ベトナム写真集―』    沢田サタ著   講談社文庫   1999年   \600-
    言うまでもなく沢田教一さんはピュリッツアー賞を受賞したカメラマンである。彼がカンボジアで戦禍に散ったのは34歳の時。報道カメラマンを目指した彼が、なぜ、戦場に出たのか。戦場だけが報道の対象ではない。なぜ戦場に出ることを決意したのか。
    たった今、本書を閉じたところであるが、結論がでない。もちろん、彼の妻である沢田サダさんをはじめとした関係者の手記を読めば事情はわかる。しかし…。いま少し、一枚一枚の写真を眺めてから、記したいと思う。(2000.6.21  一応読了)

『ベトナムの微笑み  ―ハノイ暮らしはこんなに面白い―』(新装版)  
                     樋口健夫著   平凡社新書   1999年   \680-
    最近、ベトナムについて難しく考えすぎていたように思う。戦争のこと、見んぞくのこと、言葉のこと。このページに記していないけど、最近読んだ本はすべてその類である。旅行記の類も手に取らなかったわけではないけれど、とにかく「難しい本」が多かった。
    本書は某大手物産会社のハノイ駐在員のエッセイである。突然の赴任の辞令を受けて、家族で過ごした2年間の徒然。おもしろい。素直な気持ちで、「こんなことがあった」「あんなことがあった」「こんなことを考えた」と綴ってある。町角に、裏路地に入って、庶民と共に生活した、その日その日の出来事に、何時の間にか引き込まれてしまった。私もこんな生活をしてみたいと思った。
    私のような、頭でっかちのベトナム初心者に、おすすめの本である。(2000.6.20  読了)

『ハノイ式生活』  飯塚尚子著   世界文化社   1998年   \1300円
  最近、どうしてもベトナム関係の本を読む機会が増えている。この本も書店で手にとって見た時、「これは自分と同じ境遇の人が書いた本だ!」ということで早速購入した次第。
   ハノイでの3年間の日本語学校(杉良太郎さんが会長のところ)での日本語教師日記とでも言おうか。後書きによれば、滞在中に家族や友人から届いた手紙に同じような内容の返事を書くのが億劫になり(笑)定期通信のように書いてコピーし、3年2ヵ月の間に12号書いて送ったものをもとに、帰国後に書き下ろしたのだそうである。たんなるハノイ紀行だったり、日本語教育の教室日記というだけでなく、ベトナム人の生活空間に進んで入っていき、日々を真剣に生きてきた記録のようにも読める。授業のエピソードなど参考になる点も多く、久しぶりに赤鉛筆を持って読んでしまった(受験参考書じゃないっての:笑)
   著者である飯塚さんは私と同じ歳の方。大学卒業後、一旦就職。退職後に日本語教育能力検定試験に合格し、「世界を放浪する日本語教師」を目指して再スタートしたそうである。現在はマレーシアのクアラルンプールで教えているらしい。(2000.5.21読了)